ミネソタにて

19歳で渡米して4年。アメリカで生活するために役立つ情報を書いてます。

アメリカのリベラルアーツカレッジと経済学について。

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冬の大学内の様子

おかげさまで、無事に大学を卒業しました!(祝)

 

大学について

今月、アメリカ中西部のミネソタ州という田舎の大学を卒業しました。私の留学経験やアメリカで役立つ情報をシェアするために、ブログを書いています。今回は、卒業記念ということで、私の通った大学と、第1専攻の経済学について書きたいと思います。

 

まず、私は生まれてから18年間を東京の公立学校に通って過ごしました。高校2年生でアメリカの大学に進学することを目指し始め、翌年に受験をした結果、無事にアメリカ・ミネソタ州の四年制私立大学(リベラルアーツカレッジ)に進学することができました。このプロセスや英語の勉強法は、こちらをご覧ください。

 

djsblog.hatenablog.com

 

そういうわけでミネソタの地に降り立ったものの、僕の大学は2年生の終わりまでに専攻を決めればよいという仕組みなので、最初は何を学ぶかよく決まっていませんでした。僕の大学では、2年生まではどんな進路でも選べます。医者、弁護士、教師、政治家など、なんでもなれます。そこで、一番興味があった経済学の授業を取りました。

 

当時は英語もうまく喋れなかったし、アメリカ人に囲まれて完全なアウェイだったので、授業が始まる頃にはオリエンテーションで疲れ切っていました。アメリカに来たことが正しい決断だったのか疑問を抱いていたような瞬間もあったかもしれません。

 

そんな中で始まった経済学の授業は、期待を遥かに上回るもので、授業を聞きながら、ああアメリカに来てよかったと胸をなで下ろしたことは今も鮮明に覚えています。高校の教室の半分くらいの部屋に20人程度の学生が座っており、教授がわかりやすく経済の基礎の基礎から教えてくれました。彼女は1週間で学生全員の名前を覚えていましたし、どんな質問にも丁寧に応えるので、学生も絶え間なく手を挙げていました。

 

このように、私の大学は小規模なキャンパスで学生と教授のコミュニケーションがとても重視されており、一般的な州立大学とは一線を画した教育を行なっています。このような私立大学はリベラルアーツカレッジと呼ばれ、少数精鋭の教授陣と郊外のキャンパスで教養ある人材を育てるという理念のもと、アメリカ各地に存在しています。

 

アメリカの大学で学ぶ経済学について

アメリカは広いので、大学といっても色々なスタイルがあります。経済学に関しても、大学によって教える分野に違いがあり、私の経済学の知識は限られているかもしれません。ただ、私にとって、経済学は「選択=choice」の学問だと思います。

 

考えてみれば、私たちの生活は選択に溢れています。今日は何時に起きましたか?朝ごはんは何を食べましたか?あなたは今日何を買いましたか?あなたは今日いくら稼ぎましたか?その額はあなたの仕事に見合っていると思いますか?

 

あえてお金に関する選択を多く挙げましたが、そうじゃない選択もあります。例えば、時間の使い方、人間関係など。ところが、アメリカでも日本でも、経済学を勉強しているというと、しばしばお金の勉強をしていると思われます。もちろん、授業を聞いてみるとお金の話をしていることは確かですが、それは私たちの社会がお金を「交換の手段=medium of exchange、価値の尺度=measure of valueとして使っているからに過ぎません。

 

経済学はモデルを使って経済の仕組みを分析、予測する学問だという人もいます。実際、私の経済学のノートには需要と供給のグラフが数百回以上書かれています。ここで、経済学に対する最もよくある批判として、「現実はモデルや理論どうりに働かない」というものがあります。この意見には賛否両論ありますが、経済学がモデルを用いるのは、あくまで物事を単純化してその働きを理解するためです。

 

物理学が摩擦や空気抵抗のない完全条件を仮定するように、経済学も価格受容者=price taker」「材の同質性=homogeneous product」などの条件をもつ完全な競争市場を仮定します。そして、もしその仮定から導かれる結論が現実とかみ合わない場合、モデルをアップデートしたり、新しい理論を生み出していきます。このようなことを踏まえ、アメリカでは経済学は心理学、政治学などと共に「社会科学=Social Science」と呼ばれ、物理学や生物学といった「自然科学=Natural Science」、文学や歴史学といった「人文科学=Humanities」と並んで学問分野を形成しています。

 

私はこの考え方が面白く感じ、大学が始まって数週間で経済学を専攻することを決めました。一方、私は日本で経済学をまともに学んだ経験がないので、日本のことは詳しく知りません。また、ひとえに経済学といっても、ミクロ経済学マクロ経済学計量経済学労働経済学、国際経済学、などと無数に種類があります。

 

しかし、大学で経済学を勉強して4年間。物事を経済学的な側面で考える、そして普段気にかけないようなことに疑問をもつ習慣がつきました。突き詰めてみると、このような「知的好奇心=intellectual curiousity」はすべての学問の根幹にあるものです。私にとっては、アメリカに来たのも、経済学を勉強したのも、最終的には好奇心が理由でした。そのような好奇心を最大限大切にしている教育機関が、アメリカのリベラルアーツカレッジという存在だと思います。

 

奨学金について

アメリカのリベラルアーツカレッジは高い教育レベルと同時に授業料が高いことが知られています。僕が通う大学も、授業料は年間、約500万円。4年間通うとなると、高級車が5台は買えます。

 

もちろん、こんな額を払える学生ばかりではないため、学生のほとんどは奨学金と学生ローンを利用することになります。僕の場合、大学からの援助に加え、日本からアメリカのリベラルアーツカレッジに進む学生を支援しているグルーバンクロフト基金という団体の奨学金をいただき、無事大学に通うことができました。

 

この記事を読んでいる人の中に、アメリカの大学を目指す高校生がどれだけいるか想像もつきませんが、もし興味があれば基金のウェブサイトをぜひチェックしてみてください!

 

grew-bancroft.or.jp

 

まとめ

今回は卒業記念ということで、4年間通った大学と経済学を紹介してみました。ミネソタという極寒の地で過ごした4年間、あっという間に過ぎていったのは、学問の面白さを日々感じることができてこそだと思っています。

 

せっかくアメリカに来る機会をいただき、大学で学んだことを言葉にしてシェアすることは有意義であると感じ、ブログを書いています。コメントや質問等ありましたら、ご気軽にどうぞ!