ミネソタにて

19歳で渡米して4年。アメリカで生活するために役立つ情報を書いてます。

アメリカの大学に進んだ「後」の選択肢(帰国・大学院・就職)

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日本の高校から海外の大学に進学するという進路が少しずつ広まっているようなので、今回は進学した「後」の選択肢について書いてみます。あくまで個人的な経験に基づくひとつの意見に過ぎないのでその辺りはご了承ください。

 

前置き:手短に自己紹介

 

私は東京で生まれ育ち、高校を卒業した後アメリカの大学へ進学しました。理由は色々とありますが、1番は「アメリカという国にずっと行ってみたかったから」です。

 

行ってみたいと言っても、ハワイのビーチに行きたいとかカリフォルニアで遊びたいということ(もありましたが、)ではなく、「アメリカという国で暮らしてみたい、働いてみたい」という感覚でした。

 

小学生の時はずっとサッカー選手になりたいと思っていましたが、中学生の時に英語の授業で将来の夢について発表した時、海外で働くビジネスマンになりたいと言ったのを覚えています。発表用の紙にはニューヨークの摩天楼を描きました。キッカケはテレビや映画など色々あるのだと思いますが、とにかくその頃からずっとニューヨークで働きたいと思っていました。

 

 

高校2年生になって進路を真剣に考えた時に、色々なことが重なってアメリカの大学を目指す道が見えました。(具体的には、父親の英会話教師と話したこと、高校の先輩がアメリカの大学に進んでいたのを知ったこと、etc.)それからひたすら英語を勉強した結果、(ニューヨークからは遠く離れた)中西部のミネソタ州というところの小さな大学に入学できました。

 

留学生として4年間を過ごし、今年の春に経済学と応用数学という専攻で卒業しました。卒業後は州都のミネアポリスという街にあるスタートアップ企業で働いています。大学生活や専攻については以前詳しく書いたので、こちらの記事を参照してください。

 

djsblog.hatenablog.com

 

本題:アメリカの大学に進んだ先

 

アメリカの大学に来てよかったか?」と聞かれれば、間違いなく「はい」と答えます。大学では素晴らしい友達と教授に出会えたし、今もゆっくりながらニューヨークで働くという目標に近づいていると信じて生活することができています。

 

幸い日本にいる友達や家族とは今も連絡を取り合っていますし、アメリカの文化や食生活も慣れてしまえば特に問題はありませんでした。しかし、海外に出るというのはリスクを伴う決断であるということを強調しておきたいと思います。特に、日本で生まれ、日本の教育システムに沿って生きてきた人間にとって、アメリカの大学に行くというのは「規定のレールから外れるということ」を意味します。

 

とは言っても、アメリカの大学に進んだからといって卒業後の進路がなくなるワケではもちろんありません。逆に、ある一定の分野においてはチャンスが劇的に広がることもあります。学問を目的とした留学の場合、大雑把にサイエンス、エンジニア、学者などはアメリカに残るキャリアが十分に考えられます。これはスポーツやアートの世界でも言えることでしょう。いわゆる「実力があればどうにかなる世界」です。

 

その他の場合だと、日本に帰って就職することを目指すケースが多くなります。アメリカの大学に進んだ日本人は数十人ほど知っていますが、卒業後もアメリカに残っているのは大学院に行く学生が大半(体感で95%くらい)になります。それ以外では現地の企業で働く人が数人いて、残りは全員日本に帰りました。

 

日本に帰るのは、理由があって帰るのです。英語を流暢に話し海外での生活にも慣れている学生は、日本に支社を構える外資企業や海外に展開している日本企業からは重宝されがちな人材です。学生は1年生の時から卒業後は日本で働くことを念頭に入れ、夏休みは東京でインターンをしたり、毎年ボストンのキャリアフォーラム(ボスキャリ)に行ったりして就活をします。

 

一方、私の場合はアメリカで働くことが目標だったので、夏は必ずミネソタに残ってインターンシップやリサーチをしていました。その代償として丸の内や六本木の外資企業で働くようなチャンスは諦めてきた訳です。

 

3、4年生になってボスキャリに行ってみても日本の仕事には応募せず、アメリカの仕事に絞って面接を受けました。10社ほど真剣にお話させてもらえましたが、結局オファーは1つも頂けませんでした。アメリカの大学に通っているということで面接には進めても、アメリカに残りたいという学生に賭けてくれる日本企業はまずありません。外資の場合、ボスキャリには現地採用の担当者はまず来ません。

 

アメリカで現地の企業に就職したい場合、数少ない例外を除いて日本人であることのアドバンテージはありません。英語が話せる留学生は無数におり、そもそもアメリカ人学生を差し置いて留学生を雇うほどのメリットを証明しないと、企業からしても話を聞く理由がありません。

 

ただ、アメリカの大学にいる留学生の半数くらいは、それを承知の上でアメリカで働くために留学しています。そういう学生は1年生の頃から地元の企業でインターンとして働き、卒業生にメールや電話でひたすら連絡を取り、4年間かけてどこかの街で仕事を見つけてきます。

 

そういう先輩たちの姿を1年生の時から見ていたので、自分も同じようにインターンやリサーチといった経験を積むように努めました。4年生の最終学期になっても仕事が決まらなかった時はとても焦りましたが、同じような状況の友達と励ましあいながらひたすら仕事に応募していました。

 

結果的に卒業間近にインターンシップが決まり、その3カ月後にフルタイムのオファーを貰うことができたので、自分の判断は間違っていなかったことになります。今の仕事があるのは、アメリカの大学を卒業したからであり、そもそもミネソタに来たからです。 ただ、最後まで仕事が見つからずに帰国、というシナリオも十分にあり得ました。

 

就職以外でアメリカに残るには大学院に進むのが一般的です。アメリカの大学院は修士課程(マスター)だと1~2年、博士課程(PhD)だと5~6年かかります。PhDは入学・取得するのが格段に難しい反面、金銭面のコストは低く(授業料免除+生活費&研究費は出る)、マスターは数少ない例外を除き年間400~500万円ほどの授業料が掛かることになると思います。大学院の詳しい内容は大学院生のブログが沢山あると思うのでそちらを探してみてください。

 

就職した場合の進路については、私は学生ビザのであるOPT(職業体験)という制度を利用しており、 STEM教育(サイエンス、数学、工学、テクノロジー)を専攻していたため最大3年間アメリカで働くことが可能となっています。その間に就労ビザの獲得を目指すことになり、それが叶わなかった場合は大学院への進学あるいはアメリカ国外(日本を含む)での就職を目指すこととなります。

 

結論

 

結論として、アメリカでどうしてもやりたいことがある場合、アメリカに残るのは不可能ではありません。ただ、そのためには中・長期的なプランあるいは大学院に進むための経済的な余裕、家族の理解といったことが必要となります。

 

ただ、キャリアとか進路といった理由だけでアメリカにくる必要はありません。色々と大変なことはありますが、個人的にはアメリカに来たことを後悔したことはありません。大学は忙しいけど楽しかったし、何よりもずっと思い描いていたアメリカという国で過ごしていることがただ嬉しかったです。留学中に色々なところに行くことができたし、話のネタになる経験もできました。

 

もしこの文章を読んでいて海外に出ることを悩んでいる人がいたら、こういったメリットとリスクをよく考えてほしいと思います。この記事以外にも色々な人の意見を聞いてみてください。そうやって下した決断には自信と責任をもち、その決断を下した自分の思考プロセスと気持ちを大切にしてください。

 

ところで、アメリカに行くために必死だった頃の自分にこんな話をしたとしても、迷うこともなく渡米することを決めていたでしょう。当時は不安になるような情報も入ってきたし、反対する人も少なくありませんでした。しかし、大学から合格証明書がきて飛行機のチケットを予約する頃には、もうワクワクしてそれどころではなくなってしまいます。そうなる前にちゃんと考えておきましょう。

 

 

よく考えた結果、行かないという判断を下すのであれば、多分それは行かない方が良いのであり、後から行けば良かったというのは後出しジャンケンだと思います。行くという決断に至ったのであれば、その決断には自信を持てるはずです。

 

それでも決められない場合には、「合わなかったら帰ればいい」という考え方もアリだと思います。「長い目で見れば良い経験・社会勉強だった」というのは間違った考えではありません。楽観的であることが常に正しいとは思いませんが、そういう考え方が出来るのは海外ではとても役に立ちます。もちろん、責任は取れませんが。

 

まとめ

 

長々と書かせていただきましたが、今回はアメリカの大学に進学した先の進路について書いてみました。うまく言葉にできたか不安ですが、誰かの役に立ってくれれば何よりです。質問などありましたらお気軽にコメントしてください。

 

では。

 

2020年10月25日 @ミネアポリス